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船舶の限られた空間の中で、居住空間と十分な施設を確保することはなかなか困難であるが、居住区については、閉鎖的にならないようできる限り広いものとし、船員室はプライバシーが守られるよう個室とし、また、運動不足にならないための体育施設及びサロン、娯楽室等の共有空間についても工夫を凝らし、浴室、便所等についても陸上の設備に近いものを設ける必要がある。
しかしながら、小型漁船等においては物理的に解決不可能な部分が多々あり、万全は期しがたいが、設備の配置換えや機器類の小型化を追求するなど、まだまだ、改善の余地は残されているかと思われる。
以上のような居住環境:の改善の努力をすることにより高年齢船員の長期的に蓄積される肉体的、精神的な疲労は軽減される。
c.船橋作業
航海中の作業としては、気象・海象及び他船・水深等の航海情報並びに機器の運転状況の監視が挙げられる。これらの作業を改善するためには、GSP、オートパイロット、衝突予防装置、電子海図表示装置及びすでに普及されつつあるGPS航法装置とオートパイロットの機能を組み合わせて予め設定されたコースライン上を航行できるトラッキングパイロット(輻棲海域を航行する船舶を除く)等を採用することにより安全性の向上並びに労力の低減を図ることができる。
d.機関作業
近年、内航船や一部漁船においても省エネルギー等の観点から高粘度燃料油の使用及び主機駆動発電装置、排ガスエコノマイザー等の採用が進められてきたが、これらに伴い、機関室機器、配管の増加及び機関室の狭陸化による作業性の悪化、機器の取り扱いや保守管理の複雑化等の問題が生じ、これらの作業の改善が必要となってきた。
副次的に発生する燃料油・潤滑油及びビルジ・スラッジ処理作業並びに騒音・振動・温度等の作業環境等の改善が挙げられるが、これらは船内作業の中でも劣悪な環境にあると思われる。
これらを高年齢船員から解放するためには、従来から進められてきたこれらの機器システムに対しプラントの簡素化、機器の信頼性の向上、省力化、

 

 

 

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